鮎の炊き込みご飯と茗荷の香り:天然鮎の魅力と茗荷の不思議

鮎の炊き込みご飯
鮎の炊き込みご飯

鮎の炊き込みご飯です。

今が旬の茗荷を添えてみました。

茗荷は香りがとても強いので、鮎と茗荷とは一緒に食べず、炊き込みご飯と鮎をメインで食べて、口直しのような感じで茗荷と炊き込みご飯という形でいただきました。

二種類の味わいを楽しむことができて美味しかったです。




鮎

鮎は、キュウリウオ目に分類される、川や海などを回遊する魚です。

キュウリウオのキュウリは野菜の『胡瓜』からきています。

その理由はとても単純で体表から生のキュウリのような匂いがするからです。



鮎という字の由来


鮎の漢字表記にはいくつかの説があるそうです。


神功皇后の釣り占いに由来する説

神功皇后が新羅征討の前にアユで釣り占いをし、アユが釣れたことで勝利を確信した

この故事から『鮎』の字が当てられたという説


縄張りを『占(し)める』魚 → 占うの『占』が入ったという説

アユは縄張りを強く『占める(自分のものとする)』性質があり、そこから『占』の字を含む『鮎』が当てられたという説

ちなみに中国では鮎はナマズの意味となります。


天然の鮎と養殖の鮎


天然の鮎が主に食べているものは植物性で、石に付着する藻類を櫛状の歯で石の表面をこそげ取るように食べます。

天然の鮎のキュウリのような香りは、藻類を食べているからこそ出ているものなのです。


養殖の鮎は主に動物性の飼料を与えられて食べています。

稚魚期(仔魚〜稚魚)の初期飼料はワムシ類、アルテミア幼生、ミジンコ類、カイアシ類、植物プランクトンを与え、成長期(放流用・食用サイズ)は魚粉や魚すり身を主成分とした固形配合飼料を与えるのが現在では一般的なのだそうです。

なので、藻類を食べることのない養殖の鮎はキュウリのような香りはほぼありません。

ただ動物質飼料由来の匂いを抑え、飼料にアオサなどの藻類を混ぜたり緑茶抽出物を添加したりと、さまざまな工夫が施されているそうです。


そういえば前に高知県産の天然の鮎を塩焼きで食べたことがあります。

確か1尾が養殖物の5倍くらいの価格だったように思います。

それまでは養殖物ばかりを食べていたので天然物を初めて食べるということででワクワクしながらかぶりついたのを覚えています。

まずビックリしたのがその香りでした。

確かにキュウリやスイカのような爽やかさのある濃い香りが口から鼻孔へと流れていきます。

まるで初夏の川辺に立ったときのような、青く澄んだような香りです。

養殖物はそのような香りは皆無に近かったのでこの明確な違いにまず驚きました。

次に身ですが、天然アユは脂肪が少ない(養殖物の三分の一)ので高知の四万十川の清流のように澄んだ味わいがあり、そして内臓の癖のないほろ苦さときたら最高に素晴らしいものでした。

養殖物の5倍くらいの価格ではありましたが、それだけ出す価値はあると思いました。

ちなみに養殖物の鮎の内臓の味わいは、小魚とかを食べている一般的な魚のものとさほど変わらないということです。



茗荷


茗荷
茗荷

茗荷はショウガ科ショウガ属の宿根性の多年草で、生姜の近縁種となります。

日本では茗荷はポピュラーな食材で大昔から身近に親しまれていますよね。

ところが日本では茗荷の『原種(野生祖先型)』は今のところまだ見つかっていないのだそうで、現在の『自生』した茗荷の多くは栽培由来の半野生化したものであり、原種の所在は学術的にも未確定なのだそうです。

ちなみにミョウガは『5倍体』といって、通常の植物より染色体の数が多い特殊なタイプです。

この状態だと種がほとんどできず地下茎で増えるため、人が栽培した場所(人家の近く、寺社、畑の端など)の近くにだけ残りやすいという特徴があります。

そのため、原種が特定されにくい理由の一つと考えられています。

ショウガ属は東南アジアに多様性の中心があるため、茗荷も 東アジアのどこかで分化した後、日本で栽培化されたという説が有力です。


茗荷を食べると物忘れが酷くなる?


なんだか謎の多い茗荷なのですが、風味の強い食材があまり無かった江戸時代において、強烈な味わいと香りのある茗荷を沢山食べると『物忘れが酷くなる』と言われることがありました。

これは釈迦の弟子だった周利槃特が関係しているんですよね。

周利槃特は物忘れが酷くて自分の名前さえも忘れる程でした。 

そこで、釈迦が彼の首に名札をかけさせるんですね。 

それでも、彼は名札をかけたことさえも忘れてしまいます。 

結局、死ぬまで自身の名前を覚えることができなかったそうです。 

そして彼が亡くなり、周利槃特の墓に行くと、見慣れない草が生えています。 

そこで『彼は自分の名前を荷って苦労してきた』ということで、『名』と『荷』という文字をとって、この草に『茗荷』と命名したそうです。

もしかすると、江戸時代の物忘れというのは、この釈迦の話が大元になっているのかもしれませんね。

現在においては、学術的にこのような根拠は全く無く、逆に近年において、香り成分に集中力を増す効果があることが明らかになりました。


上記の茗荷の命名については俗説ですが、大昔の日本では茗荷のことを『妹香(メノカ)』と呼んでいたことから、これが後にミョウガに転訛していったという説もあります。


茗荷の旬


花みょうが(一般的な茗荷)


花みょうが
花みょうが

夏に収穫される『夏みょうが』は6~8月、秋に収穫される『秋みょうが』は8~10月が旬になります。

夏みょうがは小ぶりで身が少なめ、秋みょうがは大きく色鮮やかで身が詰まっているのが特徴です。


みょうがたけ(偽茎と呼ばれる葉の部分)

みょうがたけ
みょうがたけ

露地栽培されたものは3~4月頃、ハウス栽培のものは1~4月頃が旬になります。

春の新芽として食べられます。

軟白栽培され、薄紅色に色付けされることが多く、汁物、天ぷら、酢の物、炒め物などに利用されます。


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